5月臨時議会 関西広域連合対策特別委員会 1年間のまとめの発言

   関西広域連合対策特別委員会 まとめ発言
島田委員: 1年間、大変ありがとうございました。
 私はガバナンスの問題に絞って発言をまとめたいと思います。
 広域連合議会、委員会、協議会とさまざまにあるわけですが、議事録もないということで指摘をし、改善を求めておりましたところ、やっとほぼ全文に近い形で掲載がされるようになりまして、田中委員長に御努力をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。
 連合議会は二元代表制ですから、関西広域連合をチェック、監視し、住民の立場から関西広域連合を動かす役割があります。しかし、この間の事実経過を見ますと、首長たちのトップダウンで何事も決められて、議会は専らそれを後から追認するだけの形になっているというのは変わらないのではないかと感じております。
 
 当初の委員会で指摘をいたしましたが、広域連合委員会は毎月開催されているのに、連合議会の定例会はわずかに2回という状況が続いておりますし、臨時会と毎月常任委員会をやって努力をしているということなのですけれども、基本的には変わっていない。現実問題として、先ほどもお話がありましたように、連合委員会で勝手に決められて、あるいは内容が変更されて、そして7分野以外にも規約にないような事業がどんどん広げられてきております。まさに府民置き去り、市町村置き去り、府議会も置き去りということが問題であると指摘をしておきたいと思います。
 そして、大飯原発再稼働の容認、国出先機関の丸ごと移管、瓦れきの広域処理基準、節電目標、北陸新幹線やリニア新幹線のルートの選定など、首長の判断だけで関西の政治全体を取り仕切ろうとしてきている動きは、関西の各府県や市町村の地方自治を侵害し、自主的な取り組みに水を差すことになるということも指摘をしておきたいと思います。
 国に帰られた平木さんが、「率直なところその進め方について不十分なところがあったということは否めないと思う」との認識を示されました。同じ委員会のところで菅谷委員からは、ガバナンスが働くように一生懸命苦労されてきたという御報告も伺ったわけですけれども、「原発問題は協議会でも、委員会でも、みんなで決めたことを勝手に変えた。これでは失望した」という旨の発言をされましたことは記憶にとどめておるわけですけれども、「住民自治がどこで担保されていくのか、あるいは原発の再稼働というような具体的な事象があったけれども、今後もっと大きな課題でいろいろな問題が起きているときに、これは問題になる。邪魔になるだけだ」と菅谷委員がおっしゃっておりましたが、本当に重要な指摘だと思います。
 
 そもそも関西広域連合が2,100万人の人口を要するこれだけの規模を持つ自治体で、住民の声が届かないという根本的な欠陥があると思います。規約も改正して連合議員は36人になるということですが、250万人の人口を持つ京都府で4人、150万人の京都市では2人と、これでは地域の課題や要望、多様な住民意見も反映できないことは明らかであります。また、関西広域連合に反対した日本共産党の議員が1人も選出されていない。これでは住民ガバナンスが働いているとは到底言えません。
 関西広域連合の設立の目的である国出先機関の丸ごと移管の問題ですが、当面3出先機関の移管を求めておられますけれども、この出先機関の移管が何をもたらすか。最大の問題は国の責任が事実上なくなるために、自治体の目的である住民福祉の向上に大きな支障を来すということであります。特に国として統一した災害対応ができなくなるということは、被災地の地元からの大きな声でもあります。東日本大震災におきましても、国の指揮のもとに出先機関が直ちに被災3県の災害現場への道を15ルート確保いたしました。専門職員や復旧に必要な機材を全国から動員して、被災者の救助、救援、復旧に大きな役割を果たしたことは事実でありますが、国の出先機関を地方に移管しますと、災害対応に大きな支障が出てくることは明らかだと思います。
 このため、現在、全国530を超える市町村長らで組織する「地方を守る会」、そして京都府内の少なくない市町が国出先機関の丸ごと移管に反対をしておられます。これに関連をいたしましては、7月3日に、国出先機関の原則廃止と関西広域連合への丸ごと移管についての緊急声明を嘉田滋賀県知事が委員長名で出された問題についても正しましたけれども、関西広域連合の主張に加えて、嘉田知事本人の個人的な主張も加えられたということも確認をいたしました。この問題でも、広域連合議会、府県議会、市町村、住民が置き去り、近畿府県各県のリーダーたちの動きも看過することはできません。

 最後に、自公政権が道州制基本法案を提出しようという動きが加速しておりますが、もともと関西財界が道州制を実現するためには、まずは関西広域連合を発足させ、成長させていくと言ってはばからなかったわけであります。広域連合が道州制に転化するものではないとごまかしても、国出先機関の丸ごと移管の実現を通して成長する広域連合へと一層役割を大きくして、関西財界の求める道州制へ脱皮を図ろうという狙いは明らかであると考えます。
 平成の大合併で周辺部の旧町の活力が奪われて、住民サービスが低下をし、住民の声が届きにくくなっていることなどが総務省の資料でも述べられておりますが、その上に再合併、そして地方交付税の廃止論まで出ますと、これは地方自治体を根こそぎ破壊をすることにつながります。合併の検証もせず、自治体無視、町村無視の道州制論議に全国町村会も反対を表明しているところであります。
 都道府県をなくし、そこでつくった財源で関西財界の要望を最優先で実現していく政治体制をつくるというのが道州制でありまして、同時に、地方政治と国民生活に対する国の責任をなくし、国の仕事を外交と防衛を中心に変える亡国の道であるということで指摘をしておきたいと思います。
 以上、まとめの発言といたします。ありがとうございました。