5月臨時議会報告 府民生活厚生常任委員会での1年間のまとめ発言 

委員会活動のまとめの発言【府民生活・厚生常任委員会】

○島田委員
1年間、大変ありがとうございました。大変重大な課題がいろいろとありました。大飯原発の再稼働問題、さらに夏の豪雨対策、それらを受けて京都府の地域防災計画の見直しの議論も進めてまいりました。
地域医療をめぐっては、府立与謝の海病院の地方独立行政法人化問題、さらに医師確保や看護師確保対策、そして京都府の保健医療計画の見直しについても多々議論を進めてまいったところであります。
私といたしましては、どの問題も現地・現場を貫きまして、府民の皆さんの声をお聞きし、これを当委員会、議会にも届けるということで努めてまいりました。
原発問題は、直接政府交渉あるいは関西電力株式会社(関電)にも届ける等々も重ねまして、それから日本共産党は現在も、福島への継続的なボランティア活動も行っておりますけれども、被災地の皆さんに心を寄せて、原発ゼロの政治決断を求め、行動をするということにも取り組んでまいりました。
住民の命と暮らしを守るための京都府の役割は鋭く問われた1年でありましたし、そういう立場で、私たち議員の役割も問われた1年であったと思います。
課題はたくさんあるわけですが、重大課題に絞って、まとめの発言にしたいと思います。
1点目は、大飯原発再稼働問題、原子力防災計画の見直しの問題でございます。
振り返ってみますと、昨年5月5日、国内全ての原発が稼働停止するという歴史的瞬間を経験いたしました。ところが、政府は多くの住民の願いを裏切りまして、大飯原発を再稼働させました。重大局面で、昨年4月、山田知事は政府の判断基準が策定されたことを受けまして、滋賀県知事と共同の政策提言を行われたことは承知のとおりでございます。
5月には、関西広域連合としての申し入れも行われましたけれども、5月末には関西広域連合の場で暫定的な稼働を容認して、時の野田政権が近畿圏のリーダーたちの一定の理解が得られたということで、大飯原発再稼働を決断するということになりました。山田知事、そして嘉田知事の政策提言では、大きな被害を受けることになる地域で暮らす京都府、そして近畿1,400万人の水源である滋賀県は被災地元とも言うべき地域との認識を表明されまして、脱原発依存の工程表を示すことや、核燃料サイクルの見通し、再生可能エネルギーの推進、使用済み核燃料の最終処理体制の確立と工程表、老朽原発、地震・津波による危険性が高い原発の廃炉の計画などを示して、脱原発依存社会への移行を目指した工程表の提示を求める、大変内容の濃い踏み込んだものでございました。
ことし9月には大飯原発が、定期点検に入りまして、再び稼働ゼロを迎えようとしております。改めて、知事や本府の態度が問われることになると考えます。現在、稼働中の原発は、大飯原発の2基だけです。しかし、あれほど電気が足りないと、命が危ないと、おどし文句のように喧伝されましたが、猛暑の夏も、冬も乗り切れることが実証されたわけでございます。少なくとも、今回の停止、そして再稼働という時点に当たりましては、昨年の政策提言に立ち返って、国や関電、日本原子力発電株式会社(日本原電)に要請をする必要があると考えます。
安倍政権は二夏も続いて原発なしで乗り切るということになれば、原発ゼロの流れが強まりかねないということで、福島原発事故とかけ離れた対策を進め、骨抜きの安全基準のもとに、高浜を初めとする全国の原発の再稼働に向けて動いていることは重大な課題だと考えます。
私は、福島県の南相馬市の仮設住宅、借り上げ住宅をこの4月に訪問いたしました。それから、4月1日に立ち入り制限が解除された浪江町にも伺ってまいりましたが、現地では子育て中の方がどんどん地域からいなくなって、仮設住宅には、60代、70代と高齢者ばかりでございました。農地を奪われて、家族がばらばらにされて、生きていく展望を失いそうになりながら、自分の1代で、代々続いた家を潰すわけにはいかない。ふるさとに帰りたいと懸命に生きておられました。
浪江町は震災当時のままでありました。ネズミ1匹で冷却機能維持のための重要な電源が失われる危機が起こるなど、東京電力株式会社(東電)のずさんな事態に怒りの声もありました。事故は収束していないと改めて実感いたしました。
さて、原子力規制委員会が5月15日に、日本原電敦賀2号機直下にある断層を活断層と断定する報告書をまとめまして、敦賀原発が廃炉を迫られる可能性が高くなっておりますが、5月21日には、同じく敦賀原発1号機で燃料集合体の筒全てが欠落していたということも明らかになりました。
さらに、もんじゅについても、年間200億円、維持費を使いながら、1万件近い機器の点検漏れが発覚して、原子力規制委員会が試運転再開の準備作業の中止を求める事態となっております。
大飯原発についても、現在、敷地内の破砕帯調査が行われて、6月にも結果が発表されますが、一方、防潮堤も重要免震棟もできていない、福井県では日本共産党関係者が大飯原発敷地内の三つの活断層の連動性評価を強く求めて、措置命令や運転停止等による安全確認等の要望もこの間行っているところであります。
また、一つだけ質問をお願いしたいのですが、これらの動きに対して、本府として、今どういうアクションを起こしておられるのか、後ほどお答えいただきたいと思います。
本府は地域防災計画をできるところからということで、暫定的な見直しを重ねてこられました。しかし、正直言って引き続き検討課題が山積しております。今、事故が起これば、役立つというレベルにはなっていないと率直に感じております。新安全基準もいいかげんです。また、避難計画も立てられない状況なのに、安倍政権が世界最高水準の安全と強弁して、再稼働する。地震大国トルコに原発を売り込むなど、暴走しております。しかし、原発でもうけたいとする電力会社や財界のために、国民の命や安全を無視する、新たな安全神話そのものであると指摘をしておきたいと思います。
総選挙後の世論調査で、原発ゼロを求める世論が7割、8割と大きく広がっております。全国知事会長に再選されました知事が今後どのような態度をとるのか、本府の態度も問われていると思います。
子供たちの未来のために、原発再稼働に反対し、原発即時ゼロを求めて、私どもは引き続き頑張っていきたいと表明をしておきたいと思います。
2点目は、京都府立与謝の海病院の地方独立行政法人化、府立医大の附属病院化問題でございます。
有識者提言から、わずか10カ月で住民抜き、現場抜きで、知事のトップダウンで結論を押しつけたやり方は、厳しく指摘をしてまいりました。府民の財産である府立病院の経営形態の変更、北部地域の中核病院として果たすべき地域医療のニーズ、これを調査・把握した上で患者、地域住民、現場職員、医療関係者と十分に説明と意見聴取を行うよう、再三にわたって求めてまいりました。本年4月1日から北部医療センターとして再出発したわけです。しかし、長年の住民の願いである地域完結型の救急医療体制の拡充、とりわけ脳外科の手術体制の確保、リハビリ医療や精神科の入院ベッドの整備など、この願いに現在ではまだ応えていただいておりません。また、この願いに応えていただくべく、本府の責任を果たしていただくことを重ねて求めておきたいと思います。
これに当たりましては、推進化会議、名前は変わるかもわかりませんが、地元の声を聞く機関として、そういう場を持って、地元の意見を聞くということで表明をいただいておりますので、ぜひ実行していただくよう求めておきたいと思います。
そしてまた、先ほど大橋委員からお話がありましたが、地域医療、そして介護のかなめは、何といっても人材確保の問題です。医師確保・看護師確保問題、るる指摘をしてまいりましたが、事態は一層深刻になっております。先日、北部に伺いましたら、福祉施設でも、医療施設でも、せっかく整備をした病床、あるいは施設が医療従事者、介護人材、そして福祉人材の不足のために100%あけられないという状況も伺いました。
先日、与謝野町にオープンした4法人の共同施設も、まだ人がそろっていないというようなことで、京都市内、中心部にある大学がいろいろと保健、福祉、医療、あるいはリハビリ等の人材養成を行っておりますが、これは地域偏在を解消するためにも、大学にも御努力いただきまして、人材養成校を北部にも検討する時期であるのではないかと思います。与謝野町では自立支援協議会で出された要望に沿って、次々に施設をつくって、働く場所はたくさんあるので、京都市内の若者たちに来ていただきたいということや、大学との連携も進められていると伺いましたので、現場の活動をぜひとも支援をいただきたいと思います。
また、京都府保健医療計画について、問題点を指摘してきました。長くなるので繰り返しません。計画の柱は、何といっても効率化の名による病床の抑制、医療、社会保障の抑制があるのではないかと思っております。
安倍内閣のもとで、社会保障制度国民会議が設置をされて、議論が始まっておりますけれども、社会保障の縮小を目的として、制度改革が進められようとしております。生活保護の改悪、扶助費の削減等を皮切りに、年金も医療も介護も負担増と給付削減が計画されて、すさまじい改悪のオンパレードです。
さらに、国保の都道府県一元化をめぐりましては、事実上、知事が知事会長として牽引してきたと思っておりますが、国庫負担の増額なく、市町村の一般会計繰り入れがなくなりますと、府内では保険料が2倍になる地域も出てくるということで報道されているところであります。本当に重大な課題です。住民、そして自治体にはこれらの問題が大きな影響を与え、直接その被害を受けることになります。我が党といたしましても、現在の危機打開と社会保障再生の道を提案しております。京都府政におかれましても、ぜひ国の言いなりではなくて、住民の命、健康を守る立場から、おかしいことはおかしいと、はっきり発言をしていただき、そしてでき得る対策の全てをとって住民福祉の向上という自治体本来の役割を果たされるよう願い、まとめといたしたいと思います。
1年間大変ありがとうございました。

○山田危機管理監
原発関係の御質問でございます。これにつきまして、私どもは首尾一貫して、国に権限と責任を持って安全のための対策を検討し、速やかに講じられたいということを言い続けてまいりました。
前の組織が余り機能していなかったという大きな反省がありますので、いろいろな組織の設立、その稼働をお願いし、今、原子力規制委員会が精力的な活動をされているというのも、まさに京都府、滋賀県の両府県の知事、あるいは関西広域連合が言い続けてきた結果であろうと考えております。
もう1点、それと私どもも独自に再稼働しております大飯原発の安全確認をするために、先日も、私どものお世話になっております専門委員が現地へ行ってまいりましたが、今の関電のほうが行っております安全確保対策を実地で確認しておるということで、もう既に4回目を数えていることでございます。今後ともこの活動をしっかり続けてまいりたいと考えております。
以上でございます。